おすすめプログラミングスクール

SESはやめたほうがいい?プログラミングスクール卒業後の進路の考え方

記事内にPRを含む場合があります

プログラミングスクールを選ぶにあたって、卒業時にどのような新しいスキルが身につき、その後エンジニアとしてどのようなキャリアが選べるのか、というのは事前に知っておきたい重要な情報です。

その中で、よく耳にするのが「SES」という言葉。今回は、このSESについて、特にそのデメリットに焦点を当てて詳しく見ていきましょう。

SES(システムエンジニアリングサービス)とは?

SESは「System Engineering Service」の略で、日本の IT 業界で広く使われている用語です。簡単に言えば、エンジニアを派遣する形態のビジネスモデルのことです。

SESの基本的な仕組み

  1. SES企業がエンジニアを雇用
  2. クライアント企業にエンジニアを派遣
  3. エンジニアはクライアント企業のプロジェクトに参加

この仕組みにより、クライアント企業は必要な時に必要なスキルを持つエンジニアを確保でき、SES企業はエンジニアの雇用を維持しながらビジネスを展開できます。

なぜSESが注目されるのか?

プログラミングスクール卒業生にとって、SESは魅力的な選択肢に見えることがあります。その理由としては:

  • 未経験者でも比較的参入しやすい
  • 様々なプロジェクトに携わる機会がある
  • 正社員として雇用される安定感

しかし、これらの表面的な魅力の裏には、重要な考慮すべき点があります。

この記事の目的

本記事では、SESのデメリットについて詳しく解説していきます。目的は以下の通りです:

  1. SESの実態を明らかにする
  2. キャリア形成における潜在的な問題点を指摘する
  3. プログラミングスクール卒業生が informed decision(情報に基づいた決定)を行えるようサポートする

エンジニアとしてのキャリアは長い道のりです。その第一歩を踏み出す前に、SESというオプションについて正しく理解することが、あなたの将来の成功につながるでしょう。

それでは、SESのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。

SESのデメリット:詳細解説

SESは一見魅力的に見えるかもしれませんが、キャリア形成の観点から見ると、いくつかの重要なデメリットがあります。ここでは、プログラミングスクール卒業生が特に注意すべき点について詳しく解説します。

1. スキルの成長が限られる

SESの最も大きなデメリットの1つは、エンジニアとしてのスキル成長が制限される可能性が高いことです。

なぜスキル成長が制限されるのか?

  1. 単純作業の多さ:多くのSES案件では、高度なプログラミングスキルを必要としない作業が中心となることがあります。例えば:
  • データ入力
  • 簡単なテスト作業
  • ドキュメント作成
  1. 技術的挑戦の不足:最新の技術やツールを学び、適用する機会が限られています。
  2. 専門性の欠如:様々なプロジェクトを渡り歩くため、特定の分野で深い専門知識を築くことが難しくなります。

具体例

山田さん(仮名)は、Webアプリケーション開発を学んでプログラミングスクールを卒業しました。SES企業に就職後、最初の案件は大手企業の社内システムのデータ移行プロジェクト。期待していたコーディング作業はほとんどなく、主にExcelでのデータチェックが中心でした。

2. キャリアパスの不明確さ

SESでは、プロジェクトごとに役割や環境が大きく変わる可能性があり、一貫したキャリアパスを描きにくい傾向があります。

キャリアパスが不明確になる理由

  1. 案件の不確実性:次にどのような案件に携わるかわからないため、計画的なスキル習得が難しい。
  2. 専門性の構築困難:多様な案件を経験することで、幅広い知識は得られるが、特定分野のエキスパートになりにくい。
  3. 長期的なゴール設定の難しさ:プロジェクトごとの短期的な目標はあっても、長期的なキャリアゴールを設定し追求することが困難。

具体例

佐藤さん(仮名)は、3年間SESとして働いてきました。最初はJavaのバックエンド開発、次にPHPでのWeb制作、そして現在はPythonでのデータ分析と、案件ごとに全く異なる分野で働いています。幅広い経験は積めましたが、「自分の専門は何か」と聞かれると答えに窮してしまいます。

3. 転職活動の困難さ

SESでの経験は、次のキャリアステップに進む際に思わぬ障壁となることがあります。

転職が難しくなる要因

  1. スキルのアピールの難しさ:多様な案件を経験しているため、特定の技術やドメインについて深い知識をアピールしづらい。
  2. 時間の制約:常駐先での勤務が長時間に及ぶことが多く、転職活動に充てる時間が取りにくい。
  3. 最新技術との乖離:先端的な開発案件に携わる機会が少なく、市場で求められる最新スキルが身についていないことがある。

具体例

田中さん(仮名)は、2年間SESとして金融系システムの保守業務に携わってきました。最新のクラウド技術を使った開発職に応募しましたが、「実務でのクラウド経験が不足している」という理由で書類選考で不合格になってしまいました。

4. 心理的負担

SESならではの働き方によって、特有の心理的ストレスを抱えることがあります。

心理的負担の原因

  1. 帰属意識の曖昧さ:SES企業に所属しながら、客先で働くという立場で、「自分はどこの会社の人間なのか」というアイデンティティの揺らぎを感じることがある。
  2. 評価の不透明さ:直接の上司が客先にいることで、SES企業での評価基準が不明確になりやすい。
  3. 契約更新の不安:案件終了後の次の仕事が決まっているかどうかの不安。

具体例

鈴木さん(仮名)は、大手メーカーに常駐しているSESエンジニアです。プロジェクトでは重要な役割を任されていますが、「自分はここの正社員ではない」という意識から、会社のイベントや意思決定プロセスから疎外感を感じることがあります。また、契約期間が終わる度に「次の案件はあるのだろうか」という不安に悩まされています。

5. 案件の不安定さ(「案件ガチャ」)

SES業界では「案件ガチャ」という言葉をよく耳にします。これは、次の案件がどのようなものになるか予測できない状況を指します。

「案件ガチャ」の問題点

  1. スキルのミスマッチ:自分のスキルや興味と合わない案件に配属されるリスク。
  2. 収入の不安定さ:案件と案件の間に待機期間が発生し、収入が不安定になる可能性。
  3. キャリアの一貫性の欠如:案件ごとに全く異なる技術スタックや業界知識が要求され、一貫したキャリア構築が困難。

具体例

高橋さん(仮名)は、モバイルアプリ開発のスキルを持っていますが、直近の案件ではレガシーシステムの保守業務に配属されました。モバイル開発のスキルを活かせず、かつ古い技術しか学べないことにフラストレーションを感じています。

6. 職場環境の頻繁な変化

プロジェクトごとに異なる企業に常駐することになるSESは、働く環境が大きく変わるのが特徴です。

環境変化によるデメリット

  1. 適応コストの高さ:新しい職場環境、文化、ルールへの適応に時間とエネルギーを要する。
  2. 人間関係構築の難しさ:長期的な人間関係を築きにくく、メンターを見つけたり、深い技術的議論をする機会が限られる。
  3. 帰属意識の希薄化:どの組織にも完全に属していない感覚から、モチベーションの維持が難しくなることがある。

具体例

渡辺さん(仮名)は、半年ごとに異なる企業に常駐しています。新しい環境に慣れた頃にはもう次の案件という状況で、落ち着いて仕事に集中できないストレスを感じています。また、技術的な相談をできる信頼関係を築く前に案件が終わってしまうことが多く、孤独を感じることもあります。

SESと他の雇用形態の比較

SESのデメリットを理解した上で、他の雇用形態と比較してみましょう。これにより、自分に最適な選択肢を見つける手がかりが得られるでしょう。

正社員エンジニアとの比較

メリット

  • 企業に直接雇用されるため、帰属意識が強い
  • 長期的なキャリアパスが描きやすい
  • 社内での人間関係構築や技術の深掘りがしやすい

デメリット

  • 転職時に比べて初期の給与が低いことがある
  • 一つの企業文化に縛られる
  • 幅広い案件を経験する機会が少ない

フリーランスエンジニアとの比較

メリット

  • 高い報酬を得られる可能性がある
  • 仕事と案件を自由に選択できる
  • 多様な経験を積みやすい

デメリット

  • 仕事の安定性が低い
  • 福利厚生がない
  • 営業や経理など、エンジニアリング以外のスキルも必要

SESを選択する際の注意点

もしSESを選択する場合、以下の点に注意しましょう:

1. 自己啓発の重要性

  • 業務時間外での学習を習慣化する
  • オンラインコースやテクニカルブログでの最新技術のキャッチアップ
  • 個人プロジェクトでの技術の実践

2. スキルアップのための戦略

  • 案件選択時に技術的チャレンジを重視する
  • 社内勉強会やテックカンファレンスへの参加
  • 資格取得を通じたスキルの証明

3. 契約内容の確認ポイント

  • 待機時の報酬条件
  • スキルアップのためのサポート制度
  • キャリアカウンセリングの有無

プログラミングスクール卒業後の継続学習

プログラミングスクールを卒業したばかりの方々へ、キャリア形成に関するアドバイスをお伝えします:

1. 就職先選びの基準

  • 技術スタックが自分の学んだものと一致しているか
  • メンターシップ制度があるか
  • 新しい技術にチャレンジできる環境か

2. スキル向上と経験の積み方

  • GitHub等でのポートフォリオ作成
  • オープンソースプロジェクトへの貢献
  • ハッカソンやコーディングコンテストへの参加

3. 長期的なキャリアプランの立て方

  • 5年後、10年後のなりたい姿を具体化する
  • 技術の専門性と幅広さのバランスを考える
  • 定期的なキャリアの棚卸しと方向性の再確認

まとめ

SESは確かに、プログラミングスクール卒業生にとって参入しやすい選択肢の一つです。しかし、ここまで見てきたように、キャリア形成の観点からはいくつかの重要なデメリットがあります。

  • スキルの成長が限られる可能性
  • キャリアパスの不明確さ
  • 転職活動の困難さ
  • 心理的負担
  • 案件の不安定さ
  • 職場環境の頻繁な変化

これらのデメリットを認識した上で、自分のキャリアゴールに最も適した選択をすることが重要です。SESを選ぶ場合も、受託開発企業や事業会社を選ぶ場合も、常に自己研鑽を怠らず、市場価値の高いスキルを磨き続けることが、エンジニアとしての長期的な成功につながります。

プログラミングスクールでの学習は、あなたのエンジニアとしてのキャリアの第一歩に過ぎません。ここからが本当の意味での学習の始まりです。どの道を選んでも、技術の進化に追いつき、自分自身を常にアップデートし続けることが、エンジニアとして成長し続けるための鍵となるでしょう。